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ねこかもいぬかも〈ただいまサイン本〉

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浅生鴨が「ほぼ日」の犬猫SNSアプリ「ドコノコ」で、2017年から5年にわたって毎日欠かさず執筆していた連載「ドコノコ放送局 編集部より」から、厳選した記事をひとまとめに。

ツイートよりも短い1日120文字で描かれるのは、ともに暮らすねこ社員たちとの現在進行形の面白エピソードから、かつて飼っていた犬や旅先で出会った小さな仲間たちとの思い出、そしてその時々の出来事や季節の移ろいに感じたことまで。
日記のようなエッセイのような、不思議な味わいのコラム集

猫や犬が幸せに暮らせる世の中は、人間にとっても幸せな世の中だ。なかなか手放しで幸せだとは言い切れない毎日だけれども、それでもせめて犬猫が安心して眠れる夜であって欲しいと思う。<まえがき・猫と犬と人の眠る夜 より>


前書きなど

 猫と犬の写真だけが載るSNS。それがドコノコだ。
 株式会社ほぼ日が運営するこのスマートフォン用アプリに僕はユーザーとしてだけではなく、なぜか開発にも関わっていて、最初の企画段階から数えればかれこれもう八年ほどのつきあいになる。
 ユーザーに毎日このアプリを開いてもらうために、ちょっとしたコンテンツを提供しようと始められたのが「放送局」と名づけられたアプリ内のコーナーで、ここには日替わりでピックアップされた写真と短いコラムが掲載されている。
 この本に収録されているのは、その「放送局」から抜粋したコラム群だ。一日あたりにすればわずか百二十文字のコラムなのだけれども、さすがに五年も書いていればそれなりの量になる。ページ数の都合上、そのぜんぶを載せることは無理だし似たような話も繰り返し出てくるから、その中からこれはと思うものを編集者に選んでもらうことにした。当然のことながら、アプリの使い方やストアの案内などドコノコを使っていない人にはわかりにくい話題は外している。
 動物についてのあれこれを書くはずのコラムは、三百六十五日休むことなく書いていれば、もちろん書くことが思いつかない日だって出てくるから、暦の話になったり天気の話になったり、あるいは個人的な生活の話に逃げたりしながら、どうにか続けているうちにいつしか日記のようになっていた。
 もともとまとまって書かれた長い文章ではなく、細切れになった百二十文字の塊を集めただけだから、これがどの程度読み物としておもしろいのかは、実は僕にもよくわからない。
 けれどもその塊の列にずっと目を走らせていると、僕自身の五年がうっすらと溶け込んだ何かがあるようにも思えてくるから不思議だ。
 本当に個人的なことばかりを書いているのだけれども、それでも多少は世の中の影響を受けているから、もしかするとこの本を手に取ってくださったあなたと僕とが同じことを考えた瞬間もあるかもしれない。
 猫や犬が幸せに暮らせる世の中は、人間にとっても幸せな世の中だ。誰もが幸せだとはなかなか手放しで言い切れない毎日だけれども、それでもせめて猫犬が安心して眠れる夜であって欲しいと思う。
(まえがき「猫と犬と人の眠る夜」より抜粋)


版元から一言

装画・挿画は、note連載「浅生鴨の短編三〇〇」にも挿絵を描いてくださっている、スミタ2022さん。かもの周りでゴロゴロしたり、いたずらを仕掛けたりするねこ、いぬたちの愛嬌たっぷりのイラストとともにお楽しみください。


著者プロフィール

浅生鴨 (アソウカモ) (著)
作家、広告プランナー。1971年、神戸市生まれ。たいていのことは苦手。著書に『猫たちの色メガネ』(KADOKAWA)、『伴走者』(講談社)、『どこでもない場所』(左右社)、『あざらしのひと』(ネコノス)などがある。座右の銘は「棚からぼた餅」。最新作は『すべては一度きり』(左右社)。

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