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日本のカーニバル戦争

¥4,620 税込

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総動員令が発令されても、「帝国臣民」は息をひそめ、ただ受け入れたわけではない。統制が厳しくなるにつれ、大衆は無遠慮、不謹慎、価値倒錯的な行動さえとるようになり、メディアもそれを煽ったのだ。日中戦争の従軍記者は、戦場での「百人斬り競争」をこぞって報じ、銃後はその記事に飛びついて、文字通り「消費」した。「スリル」という日本語も、この頃生まれた。
20世紀初頭のロシアの文学理論家バフチンは、このような状況を「カーニバル」と呼んだ。社会の通常のルールが一時的に適用されなくなり、既存の階層構造が壊されて平準化する、過渡的な瞬間のことだ。そこでは強者が貶められ、弱者や一癖ある者がコミュニティの「カーニバル王」に祭りあげられる。こうして「カーニバル戦争」は「大衆に、鬱積した不満を吐き出すセラピー効果のある通気口を提供」した。
その象徴的な存在として本書が取り上げるのは、①「スリル・ハンター」になった従軍記者、②高給取りの軍需工場の職工、③兵隊(帰還した傷病兵を含む)、④映画スター(総力戦のチアリーダーも務めた)、⑤少年航空兵(戦争末期には特攻隊員に)。
著者は日本の近現代史を専門とする、アメリカの気鋭の歴史学者。当時の新聞雑誌からの膨大な量の引用(軍国少年の投書や柳屋ポマードの広告まで)を土台とした、「消費者=臣民」の具体的な洞察に、読者は引き込まれるだろう。


目次

日本の読者へのまえがき/謝辞

序章
サーカス・フリーク/総力戦の歴史を記述するということ/文化的実践と文化的イデオロギー/カーニバルという概念/カーニバル戦争/カーニバル戦争の五人の王

1 従軍記者
検閲官が「文弱の徒」になる/従軍記者が「戦争特派員」になる/総力戦のスリルと「スリル・ハンター」の戴冠/総力戦のスピード/スリルと殺戮(キル)/「南京陥落日和」/銀座で踊り狂う/「スリル・ハンター」の奪冠

2 職工
初期の戦時動員とその影響/職工の横顔/職工が変装する/職工が産業戦士になる/結論

3 兵隊
兵隊がスピードアップする/軍神が感傷的な兵隊になる/脇坂部隊の「ヒューマニティ」/銃後から「心をこめて」/戦線の「慰安」/帰還兵の「戴冠」/異形(フリーク)としての帰還兵/帰還兵の怒り/帰還兵の悲しみ/帰還兵の守護者/兵隊の奪冠

4 映画スター
映画スターを管理する――映画法への道/映画法と登録制度/映画新体制における映画スター/水戸光子の場合/映画スター動員の限界/結論

5 少年航空兵
悲劇の特攻隊/航空文化の創出/少年航空兵の戴冠/消費者=ファンとしての少年航空兵/少年航空兵、特攻隊員になる/アメリカと戦う奴がジャズを聞き

終章
学徒と「狂人」/ジェンダーとカーニバル戦争/カーニバル戦争の世界的広がり/警官のそばのサーカス・フリーク

原注/訳者あとがき/参照文献/図版一覧/索引

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