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仄世界
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3人の女性の不可思議な運命を描く連作マンガ作品集。
頬にもうひとつの顔を持つ女性が謎めいた少女に翻弄される「有紀と有紀」、身元不明の子どもを保護したことから周囲との関係が次々と失われていく「散文的消失症候群」、病死した妹の身代わりにと買った手の模型が思わぬ事件をよぶ「そこにいた」。どこかで見失われ、底知れない世界を生きる3人の女性の不可思議な運命を、鉛筆の精緻なタッチと淡い色で描く。
霞む街景色の中に、
消え入りそうになる自分と、
輪郭を際立たせる虚體。
その境界が甘美であり、
おぞましくもあり。
――岩井俊二(映画監督)
確かだと思っていたものが
実はまったく曖昧で
不確かなものだと気づいたとき、
そして本当はそのことを自分も知っていた、
気づいていた、気づかぬふりをしていた、
気づかないよう祈っていた
ということに思い至ったとき、
彼女たちは、私たちは、
「え?」と静かに聞き返す。
――小山田浩子(小説家)
[目次]
有紀と有紀
散文的消失症候群
そこにいた
解説 小山田浩子
[著者]森泉岳土(もりいずみ・たけひと)
マンガ家。墨を使った独自の技法で数多くのマンガ、イラストレーションを発表している。著書に『アスリープ』(青土社)、『爪のようなもの・最後のフェリー その他の短篇』(小学館)、『セリー』『報いは報い、罰は罰(上・下)』(以上、KADOKAWA)、文学作品のマンガ化に『フロイトの燃える少年の夢』『村上春樹の「螢」・オーウェルの「一九八四年」』『カフカの「城」他三篇』(以上、河出書房新社)などがある。
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