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収容所のプルースト
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1939年のナチスとソ連による相次ぐポーランド侵攻。このときソ連の強制収容所に連行されたポーランド人画家のジョゼフ・チャプスキ(1896 - 1993)は、零下40度の極寒と厳しい監視のもと、プルースト『失われた時を求めて』の連続講義を開始する。その2年後にチャプスキは解放されるが、同房のほとんどが行方不明となるという歴史的事実の過程にあって、『失われた時を求めて』はどのように想起され、語られたのか? 現存するノートをもとに再現された魂の文学論にして、この長篇小説の未読者にも最適なガイドブック。
目次
編者による注記 ✶ 005
収容所のプルースト ✶ 011
後注 ✶ 106
ジョゼフ・チャプスキ略年譜 ✶ 137
ジョゼフ・チャプスキ著作一覧 ✶ 151
プルースト、わが救い 訳者解説にかえて 岩津航 ✶ 154
グリャーゾヴェツ・ノート ✶ 別丁
前書きなど
「プルーストに関するこのエッセイはもともと、一九四〇年から一九四一年にかけての冬のあいだ、ソ連のグリャーゾヴェツにあった元修道院の冷えきった食堂、すなわち捕虜収容所の食堂でもあった部屋において口述筆記されたものである。
以下に読まれる文章が正確さを欠き、主観的であるとすれば、それは収容所に図書室がなく、自分のテーマに見合った本が手元に一冊もなく、最後にフランス語の本を読んだのが一九三九年九月だったということに、いくらかは起因する。わたしがなるべく正確に描こうとしたのは、プルーストの作品に関する記憶でしかない。だから、これは言葉の本当の意味では文学批評ではなく、わたしが多くを負っていた作品の思い出、私が二度と再び生きて読み直すことができるかもわからなかった作品についての思い出を提示したものである。
〔……〕
シベリアと北極圏の境界線の辺りに跡形もなく消え失せた一万五千人の仲間のうち、なぜわたしたち四百人の将校と兵士だけが救われたのかは、まったく理解できない。この悲しい背景の上に置くと、プルーストやドラクロワの記憶とともに過ごした時間は、このうえなく幸福な時間に見えてくる。
このエッセイは、ソ連で過ごした数年のあいだ、わたしたちを生き延びさせてくれたフランスの芸術に対するささやかな感謝の捧げ物にすぎない。」(「著者による序文・1944年」より)
著者プロフィール
ジョゼフ・チャプスキ (ジョゼフ チャプスキ) (著)
1896年、ポーランド貴族の息子としてプラハに生まれ、1993年、パリ近郊に沒する。
ポーランドの画家、美術批評家、エッセイスト。
帝政ロシア軍に入隊後、反戦主義を理由に離脱。ポーランドに帰国後、対ソ戦争に従軍。1920年代にパリで絵画修行。1939年、ドイツ軍のポーランド侵攻とともにソ連軍の捕虜となるが、41年に解放される。第二次大戦後は、月刊誌『クルトゥーラ』の編集に参加し、世界各地で個展を開催するなど精力的に活動した。
単著の邦訳は本書が初となる。
岩津 航 (イワツ コウ) (訳)
1975年、大阪府に生まれる。関西学院大学大学院を経て、パリ第四大学博士課程修了、博士(文学)。現在は、金沢大学人間社会学域准教授。専攻は、フランス文学、比較文学。
主な著書に、『死の島からの旅―福永武彦と神話・芸術・文学』(世界思想社、2012)、『近代日本とフランス象徴主義』(共著、水声社、2016)、『文学海を渡る――〈越境と変容〉の新展開』(共著、三弥井書店、2016)など、訳書に、ロマン・ガリ『夜明けの約束』(共和国、2017)、ウーク・チャング『キムチ』(青土社、2007)などがある。
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