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カフェ・シェヘラザード

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ホロコーストを生き延びた〈生存者(サヴァイヴァー)〉たちの劇的な経験と記憶が、いま語られる……。
メルボルンに実在したカフェ《シェヘラザード》。ナチスに蹂躙された故国ポーランドを脱出し、奇跡的に杉原千畝のヴィザを取得。神戸、そして上海を経由して、はるばるオーストラリアにたどりついたユダヤ難民/移民たちの声が、カフェを舞台にポリフォニックに響く――。モノクローム映画のように静謐な筆致で現代史の局面を描き出した、オーストラリア在住の著者の代表作。
装画:宮森敬子

*著者のアーノルド・ゼイブル氏が、その全業績に対してオーストラリアで最も重要な文学賞 Australia Council Award の Lifetime Achievement を受賞しました。(2021年4月20日)


目次

カフェ・シェヘラザード
  
  注
  
  著者あとがき

  訳者あとがき


前書きなど

《これまでも、第二次大戦初期、ナチス・ドイツとその支配地域からシベリア鉄道により日本に避難したユダヤ住民、あるいは、いったん北欧の中立諸国(とりわけリトアニア)に避難し、1940年7月、それらの国がソ連の共産主義体制に組み込まれたことをきっかけとして、やはりシベリアを経由し、日本と中国に新天地への脱出口を求めたユダヤ難民たちによる回想録や証言ビデオは、英語、ドイツ語、イディッシュ語など、さまざまな言語で多数、残されている。また、それらの回想・証言をベースとした後代の書き手によるノンフィクション仕立ての書き物も枚挙に暇がない。
  しかし、本書のようにポーランドを起点とし、1年数カ月におよぶリトアニア、ヴィルニュスでの避難生活を経て、シベリアを渡り、日本の敦賀、神戸へ流れ着き、そして日本軍政下の上海で五年ほどを過ごして、戦後、オーストラリアに定住するという、まさに世界地図を大きくかぎ裂きにするかのようなザルマンとヨセルのオデッセイアに伴走させて、同時期、北極地帯とシベリアの奥地で苛酷な労働を強いられた人々(ライゼルとその仲間たち)、カザフスタンやウズベキスタンで戦時期をやり過ごした人々(マーシャの一家)、さらにはリトアニア、ヴィルニュスに留まり、1941年6月、独ソ開戦後に猖獗をきわめたユダヤ・ジェノサイドを抵抗活動家として奇跡的に生き延びたごく少数の人々(エイヴラム)の境遇を、文字どおり「ポリフォニー」として描き出す本書のような作品は、私の知る限り、他に例を見ない。〔……〕
  むろん小説は小説であり、史実の厳密さを無理強いすることはできないが、いま〝第二次世界大戦とは何だったか〟との問いを立て直すとき、そこに日本の敦賀と神戸、そして日本軍政下の上海を直接関係づけ、あのとき、すべてはすべてに連動し、全員が全員の命運に参与していたことに思いをいたすよう、重厚にも優しく誘なってくれる本書は、日本語版として読みつがれるに十分以上の意義を有していると信じる。語り手のマーティンが図書館で『タイムズ世界地図』を眺めながら独りごちているように、「いくつもの線が、よじれ、曲がり、ふと脇にそれて思わぬ回り道にさ迷い込んだ末、いま、《シェヘラザード》という名のカフェに、こうして収束している」とするならば、それらの線の何本かは確実に日本と上海を貫いている。戦時期の東アジアにおけるユダヤ難民という、この主題を、単にその特異性、猟奇性の視点からではなく、常にどこにでもあり得る史話として掘り起こし、理解していくことの重要性がそこにあるのだろう……》
――「訳者あとがき」より


版元から一言

本書は、地球を北から南へと半周してオーストラリアのメルボルンにたどりついた難民たちの姿を描く、ドラマチックな小説です。静かなトーンのなかにも、生への熱烈な希求を読み取ることができるでしょう。近年国際的にもよく知られるようになった杉原千畝のヴィザを利用した主人公たちが、敦賀、神戸、あるいは上海を訪れるので、とりわけ日本の読者には興味深いかもしれません。
戦争/ファシズム/スターリズムという20世紀を決定づけた歴史的局面において、わたしたちと等身大のその現場にいた人びとが、どうやって戦後まで生き延びることができたのか。かれらの肉声がフィクションという形で描かれている、稀有な作品です。
著者はメルボルンを中心に活躍する作家ですが、本書が初の邦訳となります。印象的な装画/挿画は、ニューヨーク在住のアーティスト、宮森敬子さんの作品です。ぜひ手にとってご覧ください。


著者プロフィール

アーノルド・ゼイブル (アーノルド ゼイブル) (著)
1947年、ニュージーランドのウェリントンに生まれ、幼少期にオーストラリアへ移住。現在はメルボルンを拠点に創作活動を行なっている。また、人権活動家としても移民・難民問題について発言している。
主な作品に、『水車小屋』(2020年)、『いくつもの帰還の海』(2008年)、『いちじくの木』(2002年)、『宝石と灰』(1991年)がある。本書『カフェ・シェヘラザード』(2001年)が、日本では初紹介となる。

菅野賢治 (カンノ ケンジ) (訳)
1962年、岩手県に生まれる。東京理科大学理工学部教授。パリ第10(ナンテール)大学博士課程修了。専門は、フランス語フランス文学、ユダヤ研究。
主な著書に、『フランス・ユダヤの歴史』(上下、慶應義塾大学出版会、2016年)、『ドレフュス事件のなかの科学』(青土社、2002年)、
主な訳書に、ヤコヴ・ラブキン『トーラーの名において』(平凡社、2010年)、レオン・ポリアコフ『反ユダヤ主義の歴史』(共訳、全5巻、筑摩書房、2005~07年)がある。

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