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奥歯を噛みしめる 詩がうまれるとき

¥2,420 税込

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心の傷もわかりあえなさも、
すべてを詩にしたとき、母を愛せるようになった――。
この世の痛みの声に耳を澄ます詩人が、
母、父、心の傷、そして回復までを綴ったエッセイ集。

奥歯を噛みしめて耐えること、奥歯を噛みしめて愛すること。
何もできなかったあのころ。それは、詩のうまれゆく時間であった。
生きることそれ自体が、詩になる。
それは特別なことではなく、あなたの人生もまた詩なのだ。

寒さに震える心をそっと包み込む、かぎりなくあたたかな30篇のエッセイ。
キム・ソヨン「日本の読者へ」と、三角みづ紀(詩人)による応答エッセイを付す。


目次

日本の読者へ
はじめに


母を終えた母


口があるということ
慶州市千軍洞の敵産家屋
振り返らせる
歩いてそこへ行く
少し違うこと
懐中電灯を照らしながら歩いた夜
場所愛 topophilia
間隙の卑しさの中で
祈りをしばしやめること
私を煩わせる「無」
パンと彼女
失敗がきらめく
「積ん読」と「積ん読の対義語」
無能の人
あらゆる者の視点


儚い喜び


「途方もなさ」について
じたばたのつぎのステップ
音なき岩
皮膚を剥がす
奥歯を噛みしめる
わたしが詩人なら
楯突く時間
得る
二〇三〇年一月一日 火曜日 晴れ
明日は何をしようか
木の箸と木彫りの人形
平和であれ


二箱の手紙

応答 忘れないために、手放すために 三角みづ紀

監訳者あとがき たとえ奥歯はすりへろうとも


著者プロフィール

キム・ソヨン (キム ソヨン) (著)
詩人。詩集に『数学者の朝』(クオン、2023)、『極まる』、『光たちの疲れが夜を引き寄せる』、『涙という骨』『 iへ』ほか。エッセイ集に『詩人キム・ソヨン 一文字の辞典』(クオン、2021、第8回日本翻訳大賞)、『心の辞典』ほか。露雀洪思容文学賞、現代文学賞、李陸史詩文学賞、現代詩作品賞などを受賞。

姜信子 (キョウノブコ) (監訳)
きょう・のぶこ/カン・シンジャ
作家。横浜生まれ。主な著書に『語りと祈り』、『はじまれ、ふたたび いのちの歌をめぐる旅』、『現代説経集』、『声 千年先に届くほどに』、『棄郷ノート』、山内明美との共著『忘却の野に春を想う』ほか多数。編書に、谺雄二『死ぬふりだけでやめとけや 谺雄二詩文集』、『金石範評論集Ⅰ 文学・言語論』、『金石範評論集Ⅱ 思想・歴史論』。訳書に、『詩人キム・ソヨン 一文字の辞典』(クオン、第8回日本翻訳大賞)、李清俊『あなたたちの天国』、ホ・ヨンソン『海女たち』(共訳)ほか。

奥歯翻訳委員会 (オクバホンヤクイインカイ) (訳)
李和静、佐藤里愛、申樹浩、田畑智子、永妻由香里、バーチ美和、ほとりさよ、松原佳澄
『詩人キム・ソヨン 一文字の辞典』(クオン)で第8回日本翻訳大賞を受賞。

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