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夢と生きる バンドマンの社会学

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人生を賭ける夢に出会えたことの幸福と困難――。いつの時代にも少数派ながら「卒業したら就職する」という、普通とされる生き方を選ばない者がいる。夢は諦めに終わるのか、形を変えて続くのか? 数年にわたる二十代から三十代のバンドマンへの貴重なインタビュー調査をもとに現代の「夢追い」のリアルな実態を描き出す。


目次

はじめに

Ⅰ 「夢追いの社会学」の試み

 序 章 夢追いの社会学に向けて
  1 夢追い研究の到達点と課題
  2 夢追いを「若者文化と進路形成」の問題として捉える
  3 分析枠組み――「若者文化と進路形成」に向けて
  4 調査の概要

 第1章 夢追いの戦後史――若者はいかなる将来の夢を抱いてきたのか
  1 将来の夢を跡づける
  2 複数のデータをつなぎ合わせる・重ね合わせる
  3 将来の夢の変化の全体像――JGSS-2006による分析
  4 夢追い志向か、それとも安定志向か?
  5 将来の夢のゆくえ――現代の夢追いの特徴とは何か

Ⅱ 夢を追い始める

 第2章 来歴と条件――夢追いの選択に踏み切る
  1 夢追いの幕開け――〈教育〉と〈若者文化〉の関係から
  2 音楽活動を始める
  3 音楽活動を中心とした進路形成
  4 夢追いの選択に踏み切る条件
  5 〈教育〉から〈若者文化〉へ――「適応―離脱モデル」の視点

 第3章 フリーターか正社員か――夢追いに伴う働き方の選択
  1 フリーターとして夢を追い始める
  2 なぜフリーターを選択するのか
  3 なぜフリーターであり続けられるのか
  4 そもそもフリーターになるべきなのか――正社員バンドマンの存在
  5 夢を追うためにフリーターになるか、正社員になるか

Ⅲ 夢を追い続ける

 第4章 夢の中身と語り方――夢を変えて追い続ける
  1 バンドマンはいかなる夢を追うのか
  2 夢の中身が変わる
  3 夢の語り方も変わる
  4 夢の変化の背景
  5 夢を変えるからこそ夢が追い続けられる

 第5章 夢の調整と破綻――集団で夢を追う方法
  1 バンドマンとしての夢追い、バンドとしての夢追い
  2 バンドZの来歴
  3 互いの夢を共有する
  4 解散とその後――共有された夢の破綻、そして別々の人生へ
  5 集団で夢を追い続けることのリアリティ――「音楽性の違い」とは?

 第6章 批判と抵抗――ライブハウス共同体の機制と陥穽
  1 批判されても夢を追い続ける
  2 標準的ライフコースとの攻防
  3 夢追いは反動的に維持される
  4 ライブハウス共同体という準拠集団
  5 ライブハウス共同体の生成・波及・限界
  6 夢追いはどこまで続くのか

Ⅳ 夢を諦める

 第7章 挫折か納得か――夢を諦める二つの契機
  1 「仲間がどんどんいなくなる」
  2 第一の契機――身体的・精神的問題を抱えて
  3 第二の契機――無視できなくなる将来への不安
  4 だれのせい?――「やりたいこと」と自己責任の共振
  5 夢追いの先へ――標準的ライフコースの呪縛

 第8章 夢追いバンドマンのライフヒストリー――選択・維持・断念のつながり
  1 夢追いライフコースをトータルに描く
  2 分析の焦点
  3 夢追いの選択から維持へ
  4 そして夢を諦める
  5 夢追いの幕引き

 終 章 夢追いからみる現代社会
  1 本書の知見
  2 夢と生きる軌道――四領域モデルからの考察
  3 「正しく生きる」とは何か――夢を追わせる社会・夢が追えない社会
  4 今後の課題と展望

  引用文献
  初出一覧
  おわりに

  資 料
  その1 研究参加者のプロフィール
  その2 職業分類の細目(第1章)


著者

野村 駿(ノムラ ハヤオ)
1992年岐阜県飛騨市生まれ.名古屋大学大学院教育発達科学研究科博士課程満期退学.博士(教育学).秋田大学大学院理工学研究科附属クロスオーバー教育創成センター助教を経て,現在同大学教職課程・キャリア支援センター助教.専門は教育社会学,労働社会学.
主要論文に,「なぜ若者は夢を追い続けるのか――バンドマンの「将来の夢」をめぐる解釈実践とその論理」(『教育社会学研究』第103集),「不完全な職業達成過程と労働問題――バンドマンの音楽活動にみるネットワーク形成のパラドクス」(『労働社会学研究』20巻),「夢を諦める契機――標準的ライフコースから離反するバンドマンの経験に着目して」(『教育社会学研究』第110集).
著書に,『調査報告 学校の部活動と働き方改革――教師の意識と実態から考える』(共著,岩波ブックレット),『部活動の社会学――学校の文化・教師の働き方』(共著,岩波書店)など.本書が初の単著.

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