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だれか、来る
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2023年ノーベル文学賞を受賞した、ノルウェーを代表する劇作家の代表作「だれか、来る」とエッセイ「魚の大きな目」を収録。邦訳の単行本は初となる。
シンプルな言葉を繰り返す詩のような台詞で人間の本質を問う「だれか、来る」は、だれもが自分と重ね合わせられる。90年代に発表されるや、世界に衝撃を齎した。リアリズムと不条理演劇の間を往来する作風は、フォッセが、同じくノルウェー出身の劇作家イプセンの再来、〈21世紀のベケット〉などと称されるゆえんでもある。
ベルリン在住の訳者は、著者と20年以上親交を重ねてきた最良の理解者。フォッセは西海岸の周縁に生きる市井の人々の姿を描くために、西海岸の書き言葉ニーノシュクで執筆する。翻訳はドイツ語版から行ない、訳者が著者に直接確認しながら完成させた。エッセイ「魚の大きな目」は、フィヨルドとともにある生活の風景やフォッセの文学観がよくわかる。
巻末の訳者による解説では、文学的出発点になった出来事、原風景、創作のテーマ、影響を受けた世界文学や、主要作品の紹介のみならず、著者との長年の親交のなかでのエピソードから貴重な素顔も伝わってくる。
著者プロフィール
ヨン・フォッセ (ヨン フォッセ) (著/文)
Jon Fosse
1959年9月29日、ノルウェー西部ハウゲスン生まれ。同国のベルゲン大で哲学と比較文学を学んだ。83年に小説『赤、黒』で作家デビュー。詩や児童文学なども手掛け、90年代に劇曲「だれか、来る」を発表。世界的な劇作家として地位を確立し、「欧州で最も多く上演された現代劇作家」とも称される。これまでに国内外で多数の文学賞を受賞し、40篇以上の戯曲、22作を超える小説が刊行され、戯曲はすでに世界50カ国以上の言語に翻訳され、上演されている。2023年ノーベル文学賞を受賞。本書が初の邦訳書となる。
河合 純枝 (カワイ スミエ) (翻訳)
1940年東京生まれ。岡山大学法学部、カリフォルニア大学バークレー校美術専攻。ギリシャのテサロニキ市にあるAnatolia College で教鞭を執る。長年にわたって美術手帖に寄稿し、ドイツ語でも執筆。著書『Rebellion des Körpers』(ドイツ語、共著)、『地下のベルリン』(写真:宮本隆司、文藝春秋)。ベルリン在住。
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