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文学キョーダイ!!
¥1,760
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ロシア文学者・奈倉有里と、小説家・逢坂冬馬。文学界の今をときめく二人は、じつはきょうだいだった! 姉が10代で単身ロシア留学に向かった時、弟は何を思ったか。その後交差することのなかった二人の人生が、2021年に不思議な邂逅を果たしたのはなぜか。予期せぬ戦争、厳しい社会の中で、我々はどう生きるか? 縦横無尽に広がる、知性と理性、やさしさに満ちた対話が一冊の本になりました。 ◇目次◇ はじめに――逢坂冬馬 PART1 「出世しなさい」がない家 Family PART2 作家という仕事 Literature PART3 私と誰かが生きている、この世界について World おわりに――奈倉有里 Kindle→https://amzn.to/3t5pUK2
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坂本龍一のメディア・パフォーマンス
¥2,750
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芸術家、坂本龍一の1984年 マス・メディアを実験場に展開した メディア・パフォーマンスの諸相 芸術の未来を拡張せよ 坂本龍一が「パフォーマンス元年」と称する「1984年」に注目し、生涯にわたって「メディア」を革新し続けた芸術家としての足跡をあらためて紐解く。 メディア戦略としての出版社「本本堂」、書籍というメディウムそのものによるパフォーマンス、世界最大級のテレビ「ジャンボトロン」を用いたメディア・イベント「TV WAR」…… 多彩なプラットフォームで発表された作品群、その時々に遺された発言、そして、坂本龍一へのインタビューをもとに、「マス・メディアの中の芸術家像」を「メディア・パフォーマンス」というキー・タームから解き明かす。 目次 はじめに 第1部 マス・メディアの中の芸術家像──1984/85年を中心に 第1章 メディア・パフォーマンスというゲリラ戦 第2章 作曲家・坂本龍一と武満徹という芸術家像 第3章 「1984/85年のメディア・パフォーマンス」のための質問状 第2部 20世紀芸術を超えて──坂本龍一インタビュー 第4章 武満徹との50年を振り返る(2018年) 第5章 1984/85年のメディア・パフォーマンス(2019年) 第6章 あるがままのSとNをMに求めて(2017年) 第3部 音楽のエラボレーション──21世紀の表現へ 第7章 日記という表現形式から 第8章 解体から沈黙へ 第9章 コモンズを求めて──配信者という芸術家像のはじまり おわりに ▲ PROFILE 松井茂 1975年、東京都生まれ。詩人、映像メディア学。情報科学芸術大学院大学[IAMAS]教授。付属図書館長。著書に『虚像培養芸術論 アートとテレビジョンの想像力』(フィルムアート社、2021年)。共著書に『テレビ・ドキュメンタリーを創った人々』(NHK出版、2016年)など。共編書に川崎弘二との『日本の電子音楽 続 インタビュー編』(engine books、2013年)、伊村靖子との『虚像の時代 東野芳明美術批評選』(河出書房新社、2013年)など。詩集に『Cycle』(engine books、2023年)など。キュレーションに「TOKYO MELODY 1984 坂本龍一図書資料展」(IAMAS付属図書館、2023年)、「磯崎新の謎」(大分市美術館、2019年)、「磯崎新 12×5=60」(ワタリウム美術館、2014年)など。http://purepoem.daa.jp/ 川崎弘二 1970年、大阪府生まれ。2006年に「日本の電子音楽」、2009年に同書の増補改訂版(以上 愛育社)、2011年に「黛敏郎の電子音楽」、2012年に「篠原眞の電子音楽」、2013年に「日本の電子音楽 続」(以上 engine books)を上梓。2014年にNHK Eテレ「スコラ 坂本龍一 音楽の学校 電子音楽編」に小沼純一、三輪眞弘と出演。2017年に芦屋市立美術博物館にて開催の「小杉武久 音楽のピクニック」展に企画協力、図録編集にて参加。2018年に「武満徹の電子音楽」(アルテスパブリッシング)、2020年に「日本の電子音楽 続々」、2021年に「ストーン・ミュージック」(以上 engine books)を上梓。http://kojiks.sakura.ne.jp/ 坂本龍一(音楽家/アーティスト) 1952年、東京都生まれ。78年『千のナイフ』でソロデビュー。同年『YMO』の結成。散開後も多方面で活躍。『戦場のメリークリスマス』(83年)の音楽では英国アカデミー賞、映画『ラストエンペラー』の音楽ではアカデミーオリジナル音楽作曲賞、グラミー賞、他を受賞。環境や平和問題への言及も多く、森林保全団体「more trees」の創設、また「東北ユースオーケストラ」を立ち上げるなど音楽を通じた東北地方太平洋沖地震被災者支援活動も積極的におこなった。2013年山口情報芸術センター(YCAM)アーティスティックディレクター、2014年札幌国際芸術祭ゲストディレクターを務め、2018年piknic/ソウル、2021年M WOODS/北京、2023年M WOODS/成都で大規模インスタレーション展示を実施するなどアート界への越境でも知られた。2023年3月28日、71歳で死去。
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坂本図書
¥2,200
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【坂本龍一が語る、本を介した36人の人物録】 坂本龍一の傍にはいつも本があった。 「いつか古書店の店主になるのが夢だった」と語り、東京の仮住まいでも特製の本棚を設け新旧の本を蔵していくほど、無類の本好きで愛書家だった。 本書は、2018年から2022年にわたり、婦人画報に掲載していた連載『坂本図書』全36回分と、2023年3月8日に実施された、坂本龍一と旧知の仲である編集者・鈴木正文氏との対談「2023年の坂本図書」を収録しています。 本から始まり、本に気づかされ、本で確信する。 本を媒介に浮かび上がる、坂本龍一の記憶と想像の人物録です。 選書・語り 坂本龍一 文・構成 伊藤総研 撮影 Neo Sora デザイン 日本デザインセンター 発行 一般社団法人坂本図書 発売 バリューブックス・パブリッシング
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〈悪の凡庸さ〉を問い直す
¥2,640
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アイヒマンを形容した〈悪の凡庸さ〉。アーレント自身は歯車のように命令に従っただけという理解を否定していたにもかかわらず、多くの人が誤解し続けている。この概念の妥当性や意義をめぐり、アーレント研究者とドイツ史研究者が真摯に論じ合う。[目次]序 いま〈悪の凡庸さ〉の何が問題なのか第?部 〈悪の凡庸さ〉をどう見るか1 〈悪の凡庸さ〉は無効になったのか――エルサレム<以前>のアイヒマンを検証する2 〈机上の犯罪者〉という神話――ホロコースト研究におけるアイヒマンの位置づけをめぐって3 怪物と幽霊の落差――あるいはバクテリアが引き起こす悪について4 〈悪の凡庸さ〉をめぐる誤解を解く第?部 〈悪の凡庸さ〉という難問に向き合う――思想研究者と歴史研究者の対話1 〈悪の凡庸さ〉/アーレントの理解をめぐって2 アイヒマンの主体性をどう見るか3 社会に蔓延する〈悪の凡庸さ〉の誤用とどう向き合うか 目次 序 いま〈悪の凡庸さ〉の何が問題なのか 第Ⅰ部 〈悪の凡庸さ〉をどう見るか 1 〈悪の凡庸さ〉は無効になったのか――エルサレム<以前>のアイヒマンを検証する 2 〈机上の犯罪者〉という神話――ホロコースト研究におけるアイヒマンの位置づけをめぐって 3 怪物と幽霊の落差――あるいはバクテリアが引き起こす悪について 4 〈悪の凡庸さ〉をめぐる誤解を解く 第Ⅱ部 〈悪の凡庸さ〉という難問に向き合う――思想研究者と歴史研究者の対話 1 〈悪の凡庸さ〉/アーレントの理解をめぐって 2 アイヒマンの主体性をどう見るか 3 社会に蔓延する〈悪の凡庸さ〉の誤用とどう向き合うか Kindle→https://amzn.to/465fE38
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英国本屋めぐり 本と本を愛する人に出会う旅
¥2,970
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本屋をめぐれば イギリスの最もよいところが見えてくる。 本屋から本屋へとイギリスじゅうをたどるスロートラベルはいかが? 本書でご紹介する18のルートでは、のどかな田舎道も通りながら、風光明媚な町や村、うっとりさせるような絶景、黄金に輝くビーチ、息を呑む海岸線に、 産業、文学、歴史の伝統が豊かに息づく土地などなどを訪れる。 本屋めぐりの旅の素晴らしいところは、一つとして他と同じ本屋がないこと。本、書棚、窓、レジといった要素は同じでも、雪の結晶のようにそれぞれ独自の個性がある。その書店の伝統、場所柄、店の建物の歴史、オーナーや店員の特別な情熱――これらが個性を生み出している。 書店情報、近隣散策に役立つサイトも満載。 著者プロフィール ルイーズ・ボランド (ルイーズ ボランド) (著/文) ライター&出版者。文芸出版社Fairlight Booksを立ち上げた後にイギリス国内の本屋めぐりの旅を始めた自称「本屋の擁護者」。新進気鋭の作家の作品を出版するために自ら設立したFairlight Booksは、作家のクオリティとオリジナリティを前面に出した美しい本をつくることをモットーとしている。 Twitter:LouiseBoland@FairlightLouise ユウコ・ペリー (ユウコ ペリー) (翻訳) 北海道大学文学部卒、京都大学大学院修士課程修了、英国カーディフ大学修士課程修了。2006年からイギリス在住。2012年からフリーランスの翻訳者として仕事を始め、実務翻訳の他、イギリス現地取材の同行、資料翻訳なども行っている。訳書『[図説]お菓子の文化誌百科』(原書房)。C・S・ルイスがナルニア物語の『ライオンと魔女』に登場するランプポストのアイデアを得たヴィクトリア時代のガス灯がある街に暮らし、物語に登場するごはんを実際に作って楽しむのが趣味。
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TRANSIT 61号 いつだってイタリアが好き!
¥1,980
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パスタやピッツァなどの美食に、煌びやかなファッション、ローマやルネサンスなどの歴史に、美しき地中海やアルプス……。その国名を聞けばさまざまなイメージが頭に浮かぶ。それほどに世界の人びとに愛されている国が「イタリア」です。小さな都市国家から始まった歴史と地理的環境ゆえに、ミステリアスな遺跡、古代・中世の建築物や芸術が各地に点在。そしてデザイン・ファッション・本や映画・スポーツなど今も新しいカルチャーの発信源となっています。ミラノ、ローマ、ヴェネツィア、フィレンツェ、シチリア島にサルデーニャ島......さらには“イタリアでもっとも美しい村”と呼ばれる、200以上もの小さな村まで、いつの時代も美しく、いつだって大好きなイタリアを駆け抜けた一冊です。 サルデーニャ 夏の島の喜び/サルデーニャ島 写真=安彦幸枝 文=菅原信子(TRANSIT) あこがれのイタリアにて/ヴェネツィア、フィレンツェ、ピティリアーノ 写真・文 =藤原 慶 街と人がつくるイタリアンデザイン/ミラノ、キアバリ、トスカーナ 写真=在本彌生 文=大城健作 花咲くイタリアン・アルプスの麓へ/ヴァッレ・ダオスタ 写真=市田小百合 文=沖村かなみ アルバレシュの小さな暮らし/カラブリア 写真=安彦幸枝 文=菅原信子(TRANSIT) 拝啓 マエストロ・フェリーニ/リミニ、ローマ 写真・文 =在本彌生 バレーボール日本代表 髙橋藍のボーノなイタリア成長譚 イタリアってなんだ イタリア栄枯盛衰噺 古代ローマ/中世ルネサンス/統一とファシズム おいしいイタリア図鑑 入門/料理早見表/パスタ/名産MAP/アグリトゥーリズモ ジャンフランコ・ロージ監督が見つめたローマ教皇の旅 イタリア社会 経済/難民/アルベルゴ・ディフーゾ/未来 人生を彩るイタリアン・カルチャー ファッション/建築/家具/プロダクトデザイン/映画/音楽/コミック/スポーツ イタリア修業物語! 藤田統三/田中杏子/茂垣綾介/池渕考介/玉腰美由紀 【付録】 イタリアの小さな村トラベルガイド 在本彌生/アレッサンドロ・ビオレッティ/阿部修久/美濃和 駿/高橋心一/野村雅夫/Ryu Matsuyama/安彦幸枝 【連載】 World View 今日の世界 遠くへ旅するちいさな言葉…インドネシア 未来を拓く市民会議…フランス 80億分の1…グリーンランド NIPPONの国立公園 支笏洞爺国立公園 写真=吉松伸太郎 文=諸角優英(TRANSIT) Kindle→https://amzn.to/3RxMjKi
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「変化を嫌う人」を動かす 魅力的な提案が受け入れられない4つの理由
¥2,200
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売り込みや報奨では、人は動かない。 利点の訴求ではなく、「抵抗」の解消で人は動く。 [フィリップ・コトラー推薦] “新しいことを始めようとしているなら必ず読むべき本だ。” 「ウォールストリート・ジャーナル」ベストセラー 魅力的なはずのアイデア、製品、サービスが、相手に受け入れられないのはなぜか? それは魅力が足りないからではない。相手が受け入れたくない理由=「抵抗」があるからだ。 著者らは抵抗を4つ(惰性・労力・感情・心理的反発)に分類し、それぞれの正体を分析、 それらへの対処法を、事例を使って具体的に伝授する。 「惰性」:自分が馴染みのあることにとどまろうとする欲求。 「労力」:変化を実行するために必要な努力やコスト。 「感情」:提示された変化に対する否定的感情。 「心理的反発」:変化させられるということに対する反発。 アイデアのメリットをアピールするよりも、魅力をさらに増やす努力を重ねるよりも、 抵抗を減らすアプローチの方が、ずっと効率的で低コストであることが示される。 “マーケティング担当者は、顧客に新しい製品やサービスを採用させる手段として、機能やメリット、宣伝に頼ることがあまりにも多い。だが、本書を読めば分かるように、これはマーケティングの公式の半分に過ぎない。新しいものを取り入れようとする消費者の欲望を抑え込む4つの主要な「抵抗」を突き止めた本書は、マーケティングの世界に大きな貢献をしている。本書は、これらの「抵抗」を予測する方法を示すだけでなく、「抵抗」を克服する方法まで教えてくれる。新しいことを始めようとしているなら必ず読むべき本だ。” ――フィリップ・コトラー 目次 1.魅力的なアイデアが成功しない理由 弾丸があれほどよく飛ぶのはなぜか 魅力の増大ばかりに注力する人々 買いたいのに「購入」ボタンを押せない顧客 新しいアイデアの受け入れを阻む4つの「抵抗」 イノベーションを解剖する 読んでいただきたい方々 倫理規範についての注意事項 誠実な戦略か、人を惑わせるような戦略か/意図は何か 2.魅力アピールに専念するのはやめよう 月平均132台の車を売る自動車販売員 自動車ディーラーのうんざりさせられる売り込み 進まないのは「燃料」が足りないせいと思い込む 人を動かす「燃料」には2つのタイプがある 「促進型燃料」とは何か 「回避性燃料」とは何か 人の心を支配するのは「燃料」より「抵抗」 「燃料」に頼る施策は高くつく 「燃料」となるメリットは誰にでも分かる 「燃料」が「抵抗」を増幅し事態悪化を招くことも 私たちを「燃料」思考にさせる脳の癖 3.「惰性」 人は変化より不変を、未知より既知を好む 見なれたものを好む「単純接触効果」 人は知っている商品を購入する 人生観や政治的規範より強い「既知」の力 「惰性」はいかにしてイノベーションを損ねるのか 4.「惰性」を克服する よく知らないものを知っているものに変える 新しいアイデアに慣らすことで「抵抗」を和らげる 戦略その1:何度も繰り返す 戦略その2:小さく始める 戦略その3:伝達者をオーディエンスに似せる 戦略その4:提案を典型的なものに似せる 戦略その5:喩え(アナロジー)を使う 選択肢の提示に相対性を取り入れる 戦略その1:極端な選択肢を追加する 極端な選択肢の実例──契約期間と教員採用 戦略その2:劣った選択肢に光を当てる 劣った選択肢戦略とおとり選択肢のでっちあげ カエルも劣った選択肢に影響を受ける 相対性に関する失敗はいつ起きるか 「慣性」を克服する方法のまとめ アイデアに慣らすための戦術/相対化するための戦術 5.「労力」 カニも人も最小の労力で最大の成果を得たがる 最小努力の法則はいたるところに見られる 最小努力の法則は友人関係にも認知にも影響 「高い価値」より「少ない労力」が優先される 「労力」の計算は少しのことで大きく変わる 私たちは「労力」の影響を軽視している 入学志願者を増やすためにシカゴ大学がしたこと コラム│「労力」に価値が見出される状況 6.「労力」を克服する 「労力」を減らして人々を救った事例 「労力」の2つの側面──「苦労」「茫漠感」 ロードマップの作成で「茫漠感」を制した事例 「イノベーション」をロードマップに落とし込む その行動を取るべきタイミングを設定する 行動の簡素化で「苦労」を減少させる コラム│人々が作る近道「けもの道」 必ず知っておくべき2つの簡素化テクニック 「ノー」と言いにくくする/デフォルトにする コラム│UXデザイナーのように思考する 「労力」を克服する方法のまとめ ロードマップを作成する戦術/行動を簡素化する戦術 7.「感情」 「ケーキを焼いた感じがしない」という問題 「感情面の抵抗」──出会い系アプリの事例 コラム│感情とは何か 「ジョブ理論」に基づいて感情について考える ペット持ち込み不可のDVシェルターの事例 機能面の価値が「感情面の抵抗」を招いた事例 リーダーが優秀な部下を重用しない理由 製品情報収集のセルフサービス化の弊害 8.「感情」を克服する─価 探していないものは目に入らない 「感情面の抵抗」の発見は市場を拡大させる 「感情面の抵抗」が明瞭に表れることは少ない 「なぜ」にフォーカスする コラム│理由を聞き出す質問の方法 行動観察者になれば「本当の理由」に近づける アメリカン・エキスプレスの若年層顧客獲得戦略 コラム│行動観察者のマインドセット 外部の人を引き入れて「感情面の抵抗」を予測 顧客を従業員として雇う コラム│「感情面の抵抗」に効く一般的な治療薬 「感情面の抵抗」を克服する方法のまとめ 「なぜ」にフォーカスする/行動観察者になる/外部の人を引き入れる 9.「心理的反発」 変化させられることに対する「抵抗」 自由が奪われると感じると「心理的反発」は起きる 相手の誤りを示す証拠が強力なほど態度が硬化 説得されていると感じるだけで「抵抗」は強まる 「心理的反発」が発生する要件は何か アイデアが基本的な信念を脅かす場合/変わることへのプレッシャーを 感じる場合/オーディエンスがのけ者にされていた場合 10.「心理的反発」を克服する 変化を無理強いするのはやめよう 相手が自分を説得するのを助ける「自己説得」 メモ・カードの力──自分の目標を書き出す 偏見を弱める──ディープ・キャンバシング 「イエス」を引き出す質問をする 朝鮮戦争で米兵捕虜が受けた洗脳の仕組み コラム│決定事項を「実験」と捉える トップダウンではなく全員参加だとうまくいく 利害関係者たちとともに作る──コ・デザイン 自己説得の3つのルール ルール1:自己説得は目安箱方式では無理/ルール2:メンバーに コミットメントを発表させる/ルール3:参加を実質を伴ったものにする 「心理的反発」の大きさを測る問い 「心理的反発」を和らげる2つのテクニック 「イエス」を引き出す質問をする/コ・デザイン 11.3つの事例研究 「抵抗レポート」を使って分析し戦術を考察 研究事例その1:石油から起業への転換を成功させたドバイ ドバイ未来財団/「抵抗」を克服する/失敗への恐怖を克服する/成果 研究事例その2:短期間での大麻合法化 「抵抗」を克服する/成果 事例研究その3:住宅購入時のハンデをなくす もともとは「燃料」主体だったフライホームズ/ 成り行き任せの行動観察調査/「抵抗」/ ポイント付与から顧客の「進歩」にピボットする/「抵抗」を克服する/成果 謝辞 監訳者解説 原注 Kindle→https://amzn.to/3RkSuB6
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投票の政治心理学 投票者一人ひとりの思考に迫る方法論
¥6,380
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本書の特徴は、「選挙の機能」の捉え方にある。伝統的な政治心理学における投票行動研究では、「政治の代表者の選出」をはじめとした制度に基づく機能に焦点が当てられてきた。しかし本書では、選挙には投票者を中心に据えた機能も備わっている、と考える。選挙は政府と市民、さらには市民同士の交流の機会となっていて、そのことが確かに個々の投票者に影響を与えている――これがその考えの中核である。著者らは選挙のそうした影響を知るため、「行動」「経験」「解決感」という三本の柱を分析の軸に据えた斬新な方法論を設計し、世界6ヵ国(アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、ジョージア、南アフリカ共和国)で大規模な調査を行った。対象とした選挙の中には、あのEU離脱国民投票や2016年のアメリカ大統領選挙といった、世界中の関心を広く集めた選挙も含まれる。実際に行った調査の方法はきわめてユニークである。自己報告型データ(標準的な質問票調査、選挙期間の前後の日記や、投票直後のインタビューなど)、観察データ(投票立会人による観察報告)、そして実験型データ(模擬投票のシーンを撮影し、その映像を分析するなど)と三方向から多彩な情報を収集。パーソナリティ特性や選挙の記憶、そして選挙のさまざまな段階で抱く感情などに着目して分析している。本書は従来の研究における想定を覆し、新たなスタンダードとなりうるか。国を問わず、誰もが関与しうる選挙。その大規模で普遍的なイベントをより深く理解するための、挑戦的研究。 目次 序文と謝辞 各章の概要 1 ホモ・スフラーガートル 投票するヒト なぜホモ・スフラーガートルなのか? ホモ・スフラーガートルとは何者か? 個人と集団 入れ子構造になった長短のサイクル 不可解にして魅力的な投票者の心理 従属変数の転換 定着と改革のバランス――地図にある領域とない領域を進む 課題とパズル リサーチクエスチョンと運用上の課題 モデル 本書の真髄 2 投票者の心の地図を描く ホモ・スフラーガートルの解剖学 投票行動の心理学のベールを剥ぐ 選挙の社会化モデル 選挙の記憶と投票 「パーソナリティと投票」に関するパンドラの箱を開ける パーソナリティから倫理観へ 感情と投票行動 文脈の個人的側面とエコーチェンバー現象、および選挙の雰囲気 選挙の機能 選挙エルゴノミクスの概念 選挙は個人と社会の架け橋となるのか 社会志向的認識/個人志向的認識と投影 投票者の役割と共感的置き換えの問題 投影された有効性感覚 選挙のアイデンティティの概念――審判かサポーターか? 選挙がもたらす絶望と敵意 方法論的挑戦と条件 包括的な研究デザイン 従属変数へのアプローチと操作化 比較の範囲 第一の構成要素――大規模調査とパネル調査 第二の構成要素――インデプスインタビュー、スポットインタビュー、日記 第三の構成要素――視覚的実験 第四の構成要素――直接観察 方法論的トレードオフ 3 投票者の1日 投票日 高まる雰囲気 拡張現実 特別な1日 投票所にて 誰と投票に行くのか? いつ投票に行くのか? 感情の高まり 投票ブースの中で何を考えるのか? 一票に込められた思考 投票ブース内での思考――複雑な尺度 従来型投票者と、リモート投票者の思考を比較する 年齢と性別による差異 投票しない人の1日 エレクション・ナイト――投票日の夜 目まぐるしいエレクション・ナイト 試合後の審判とサポーター 終幕の機会 4 パーソナリティと倫理観 私的契約 8種類の個別のパーソナリティ特性 パーソナリティ特性の影響 派生的なパーソナリティ――選挙の文脈におけるパーソナリティ パーソナリティから倫理観へ 倫理観と選挙への参加 倫理観と左派/右派への投票 倫理観と過激主義 個人志向的/社会志向的投票の心理 個人志向的/社会志向的態度のバリエーション 社会志向性の尺度 社会志向性、選挙への参加、選挙での選択 投影的な市民――長期的な投影の力 モデルのステージ1――パーソナリティ、倫理観、社会志向性は重要なのか? 5 選挙の記憶 選挙の記憶とは何か? 国家としての決定的な瞬間と、個人的な物語――投票者はどちらを記憶するのか? 構築された幼少期の選挙の記憶 構築された特別な初投票の記憶 幼少期の選挙と、特別な初投票の物語 選挙の記憶と、個人と社会の接点 選挙の記憶の触覚的、聴覚的、感覚的要素 過去から現在へ――選挙の記憶の影響 選挙の記憶、共感的置き換え、有効性感覚 モデルのステージ2――選挙の記憶は重要なのか? 6 選挙のアイデンティティと、個人と社会のダイナミクス 選挙のアイデンティティの概念 認知的な障害としての機能 既存の類型論とその限界 選挙のアイデンティティの基本モデル――「審判」と「サポーター」 「サポーター」という選挙のアイデンティティ 「審判」という選挙のアイデンティティ 投票者としての役割を市民の言葉で表現する 審判/サポーターモデルの自発的な裏づけ 各国の審判とサポーター 真のアイデンティティ? 審判/サポーターアイデンティティの時を超えた安定性 審判とサポーター――社会的、人口統計学的、心理的な分析結果 選挙のアイデンティティがもたらす結果 鏡と投影――個人と社会の接合点としての選挙 将来をイメージする――長期的な投影と世代間の投影 アイデンティティの再統合――共感的置き換えと選挙のアイデンティティ 投影された有効性感覚 モデルのステージ3――選挙のアイデンティティ、投影、共感的置き換えは重要なのか? 7 選挙と感情 感情の内生的な性質 感情――選挙がもたらす緊張、涙、幸福感 選挙がもたらす涙 投票ブース内での肯定的な感情 選挙がもたらす感情は性別によって異なるのか 選挙がもたらす感情は年齢によって異なるのか 初体験の胸の高鳴り…… 感情の潜在的尺度 視覚的に表示された投票ブース内での感情と、キネシクス分析 感情の依存性 8 選挙エルゴノミクス 選挙エルゴノミクスの概念 リモート投票の謎 選挙エルゴノミクスについての事例研究 その1――投票所の重要性 選挙エルゴノミクスについての事例研究 その2――二世代物語? 選挙エルゴノミクスについての事例研究 その3――1枚の紙の重要性 選挙エルゴノミクスのすべての影響を理解する 9 選挙がもたらす解決感と雰囲気 希望から敵意まで 選挙がもたらす解決感――サイクルの終結 前代未聞の時代? 政府なき選挙? 選挙の雰囲気を解読する――イギリスの二つの事例研究 希望の光と選挙がもたらすハネムーンの概念 「どのみちこれ以上悪くなりようがないから」 絶望への対処法としての世代間の投影 敵意の表現 「憎しみ2.0」? 和解不能、サイロ化現象、ポピュリストによる分断 選挙がもたらす解決感を再考する 10 最終章 選挙の世界をひっくり返す 理性の時代を超えたホモ・スフラーガートル 照明を切り替える 投票者の心の謎に関する重要な発見 鶏が先か卵が先か? 選挙の真実は明らかになったのか? パーソナリティ、選挙の記憶、選挙のアイデンティティは重要なのか? 静的なモデル 相互作用する動的モデル 投票日の内面化 情熱的な経験 終わらないサイクル 人間の能力を最大限に引き出す ジキル博士とハイド氏? 敵意のパラドックス 宿敵と犠牲者 最終的な希望と最終的な危険性? 選挙がもたらす平和の心理 概念の用語解説 参考文献 索引
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いたみを抱えた人の話を聞く
¥1,870
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身体的、心理的にいたみを持つ人たちの語りを、どのように聞けばいいのか? 生きていくなかで出会う苦しみや死と、どう向き合えばいいのか? エビデンス重視の現代医療に警鐘を鳴らし、患者一人ひとりの物語に耳を傾けながら治療を行う緩和ケア医と、多くの吃音当事者に話を聞いてきたノンフィクション作家が、人のいたみ、そして自分自身のいたみを巡って言葉を交わした対話の記録。 目次 はじめに 身体の問題と心の問題は切り離せない エビデンスからこぼれ落ちるもの いたみを抱えた人の話を聞く 第一章 岸本先生はどのように話を聞いてきたか ただ、そばにいること この人の思いを全然わかっていなかった しっかりかかわれたら、しっかり別れることができる 患者とのやり取りを外から見つめる目を持つ 第二章 話を聞く方法について 意識水準を下げて聞く 葛藤を抱える まずは聞く。そして考える 医療の現場での話の聞き方の問題点 治療構造について 第三章 夢によって開かれた心理学への扉 学生時代に夢があふれ出した 幼いころから死が怖かった 医学的な観点だけからは見えてこないことがある 山中康裕先生からの学び 身体イメージが話の中に紛れてくる 第四章 現代の医療について 脳科学的に見直されつつある夢の意味 せん妄の捉え方から見える医療の問題 「鎮静」に関する懸念について できることはすべてやった、と本当に言えるか エビデンスが切り捨てるもの 「エビデンス」の本来の姿 「死」と向き合わない緩和ケア 緩和医療が個からエビデンスに向かう理由 これからの医療のあり方について 第五章 いたみを抱えた人の話を聞くことについて 死とどう向き合うか 死を迎えるときの時間体験 キューブラー=ロスが遺したもの 「傷ついた治療者」として 病の先にありうる「幸福感」 苦しみがあるからこそ おわりに 近藤雄生 人間を人間たらしめるもの ともに明日へと踏み出すために おわりに 岸本寛史 参考文献 Kindle→https://amzn.to/3RulUwy
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群像 2023年10月号
¥1,650
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〈新連載・連作〉 「骨壺のカルテット」小川洋子 〈本誌初登場・一挙掲載〉 「鬼怒楯岩大吊橋ツキヌの汲めども尽きぬ随筆という題名の小説」西尾維新 〈創作〉 「琥珀の家の掌」石沢麻依 「風雨」井戸川射子 「宇宙塵」小野正嗣 「花束の夜」高瀬準子 〈新連載〉 「いま、球場にいます」高山羽根子 「ハザマの思考」丸山俊一 〈インタビュー〉 「物語るために遠ざかること。時間、記憶、ディスタンス。」川上弘美 聞き手 鴻巣友季子 〈批評〉 「空海」安藤礼二 「小川洋子の作品におけるエモーションの記号化とその情動と感情作用の可能性」エレナ・ヤヌリス 多和田葉子 訳 〈連作〉 「帰れない探偵 嵐の中、嵐のあと」柴崎友香 〈New Manual〉 「デニムハンター」舞城王太郎 〈本の名刺〉 『去年の今日』長島有里枝 〈最終回〉 「くぐり抜けの哲学」稲垣諭 〈連載〉 「口訳 太平記 ラブ&ピース 外道ジョンレノンを根絶せよ〔2〕」 町田康 「無形〔4〕」井戸川射子 「タブー・トラック〔8〕」羽田圭介 「多頭獣の話〔13〕」上田岳弘 「鉄の胡蝶は記憶は歳月は夢は彫るか〔62〕」保坂和志 「二月のつぎに七月が〔51〕」堀江敏幸 「セキュリティの共和国——戦略文化とアメリカ文学〔2〕」新田啓子 「ゲは言語学のゲ〔3〕吉岡乾 「養生する言葉〔4〕」岩川ありさ 「メタバース現象考 ここではないどこかへ〔4〕」戸谷洋志 「言葉と物〔4〕」福尾匠 「海をこえて〔4〕」松村圭一郎 「群像短歌部〔4〕」木下龍也 「チャンドラー講義〔5〕」諏訪部浩一 「星沙たち、〔5〕」青葉市子 「レディ・ムラサキのティーパーティー 姉妹訳 ウェイリー源氏物語〔11〕」毬矢まりえ×森山恵 「野良の暦〔12〕」鎌田裕樹 「文化の脱走兵〔12〕」奈倉有里 「庭の話〔15〕」宇野常寛 「世界の適切な保存〔18〕」永井玲衣 「なめらかな人〔19〕」百瀬文 「磯崎新論〔22〕」田中純 「地図とその分身たち〔23〕」東辻賢治郎 「言葉の展望台〔28〕」三木那由他 「世界と私のA to Z〔20〕 」竹田ダニエル 「こんな日もある 競馬徒然草〔32〕」古井由吉 「現代短歌ノート二冊目〔36〕」穂村弘 「日日是目分量〔38〕」くどうれいん 「星占い的思考〔43〕」石井ゆかり 「所有について〔26〕」鷲田清一 「国家と批評〔33〕」大澤聡 「〈世界史〉の哲学〔151〕」大澤真幸 「文芸文庫 の風景〔34〕」川勝徳重 「文一の本棚〔4〕」松永K三蔵 〈随筆〉 「「故郷」から遠く離れて」王寺賢太 「ChatGPT狂想曲」全卓樹 「時折タイムスリップ」たなかみさき 「宙に浮いた魂の受け皿」筒井淳也 「自然と身体ひとつで」永沢碧衣 「高速道路のバス停で」宮地尚子 「苦痛神話」村中直人 「たかが毛、されど毛」屋敷葉
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新百姓 001 特集:水をのむ
¥3,150
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『新百姓』では、「どうすれば人間はシステムの支配から解き放たれ、つくることを思い切り楽しめるか?」 (Why can’t we be playful everyday?)を根底の問いに掲げています。 効率性や規模の拡大を最優先に追求する経済のあり方、 人間一人ひとりがそれに従順であるように求められる巨大な社会システム。 そういったものに疑問を持ち、新しい生き方を探究している人たちの問いと実践の物語を紹介します。 毎号「水をのむ」「米を炊く」「祭る」など、古来から人間が行ってきた根源的所作を1つずつ特集テーマに掲げ、 その意味を深め、捉え直して転回することを試みます。 目次は画像5枚目にて。
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シルヴィア・プラス詩集
¥3,080
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若くしてその才能をあらわし、30歳で悲劇的な死を遂げたことによって伝説的な存在となっている詩人・シルヴィア・プラス。愛と苦悩によってすぐれた作品を生み出した彼女の詩47篇を収録。2022年に没後20年を迎えた詩人・吉原幸子が歳月を費やし英文学者の皆見昭とともに訳出した翻訳詩集。 ダディ、あなたを殺さなきゃならないといつも思ってた。 そうするひまがないうちに、あなたは先に死んじゃった―― 大理石みたいに重たくて、神様がいっぱい詰まった鞄、 サンフランシスコのあざらしみたいに 大きな灰色の足先一本持って (本文より) プラスのすぐれた作品は、テッド・ヒューズを知り、彼の子を産み、更に彼に裏切られて自立を志したという経緯の中から生み出されていることを忘れてはならない。テッドに対する愛憎二様の想念と共に、女性であり母性でもあった芸術家の使命感が、これらの作品から噴き出しているのが見られるであろう。 皆見昭(英文学者) 著 者 略 歴 シルヴィア・プラス Sylvia Plath 米国の詩人。1932年、マサチューセッツ州に生まれる。スミス・カレッジに進学して創作に励み、55年ケンブリッジ大学に留学。翌年に詩人テッド・ヒューズと出会い結婚する。二児を育てながら執筆を行ったが、62年に別居。63年ガス自殺。 訳 者 略 歴 吉原幸子〈よしはら・さちこ〉詩人。1932年、東京に生まれる。詩集『オンディーヌ』と『昼顔』で高見順賞受賞。1983年から1993年まで詩誌「現代詩ラ・メール」を新川和江と主宰した。2002年没。 皆見昭〈みなみ・あきら〉英文学者。1931年生まれ。2002年まで京都ノートルダム女子大学教授。2015年瑞宝中綬章受章。 Kindle→https://amzn.to/3RfdFEK
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誓願 文庫
¥1,694
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『侍女の物語』の閉塞感を突き破る続篇。ブッカー賞受賞作 英語圏最高の文学賞 ブッカー賞受賞作 『侍女の物語』のその先を描く傑作! 過酷な男尊女卑政策をとる独裁国家ギレアデ。その司令官の娘アグネスは、よき妻となるための教えに従いつつ、違和感も覚えていた。隣国の高校生デイジーは平和に暮らすある日、両親を殺され、やがて危険な任務に身を投じていく。ギレアデの中枢では、指導者のリディア小母が秘かな賭けに出ていた。まるで異なる3人の女性がいま、手を組み、国家の闇に挑む。 Kindle→https://amzn.to/3Zjj5An
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家族と厄災
¥2,090
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非常事態の水面下で起きていたこととは。 新たな危機がやってきたとき、起こりうることとはーー。 パンデミックは、見えなかった、見ないようにしていた家族の問題を明るみにした。 家族で最も弱い立場に置かれた女性たちは、どのように生きのびようとしたのか。 家族問題に長年たずさわる臨床心理士が、その手さぐりと再生の軌跡を見つめた。社会の変化を視野に入れ、危機の時代の家族のありようを鮮烈に描写したエッセイ。 目次 まえがき 第1章 KSという暗号 カウンセラーを査定する 不穏な母 いつも誰かを背負って生きる 「かわいいよ」 フラッシュバックと痛み 私の手痛い失敗 侵入する記憶 第2章 飛んで行ってしまった心 何もなかったかのように 文字で埋めつくされたノート 不思議な感覚 私は存在している KSがなくなる 言葉にこだわりけるつづけること 第3章 うしろ向きであることの意味 「未来志向」という強迫 whyからhowへ ナラティヴセラピー トラウマへの新しいアプローチ 「渦中」の危機と「その後」の危機 第4章 マスクを拒否する母 不穏な視線 心理的に距離をとる 母の遁走 華麗な日々が暗転 あふれる感情 第5章 親を許せという大合唱 四半世紀後のデジャヴ 「常識は変わらない」 加害と呼ぶことを許す言葉 あやまろうとしない親 戦うべき相手はだれか 第6章 母への罪悪感はなぜ生まれるのか クライエントの三分の二は家族問題を抱えて来所する 名づけることの意味 罪悪感が生まれる背景 「あなたのために」という偽装された自己犠牲 第7章 「君を尊重するよ(正しいのはいつも俺だけど)」 孤立無援の日々 在宅勤務の夫 妻の納税額に衝撃 「君が望むなら」の本当の意味 責任転嫁と定義権の収奪 予期せぬ力関係の変化 第8章 私の体と母の体 予知夢 コロナ禍の葬儀 三世代の流れ 「私以外の誰がいるんですか?」 主客の逆転――かけがえのない存在になる ケアをしながら、得られなかったケアを受ける 第9章 語りつづけることの意味 玄関の向こうは人権のない世界 世代間連鎖への恐怖 抵抗できない強い磁力 見知らぬ人に手を差し伸べるように 「仲間」の存在 語りつづけること 見知らぬ人になって母も変わった 代弁するということ 第10章 むき出しのまま社会と対峙する時代 時代の空気がわからなかったあのころ 重層的厄災 誰かに起きた暴力が、自分の痛みをよびさます 社会・国家とむき出しで対峙する時代 第11章 慣性の法則と変化の相克 ――一蓮托生を強いられる家族 非日常の日常化 カウンセリングが成立しなくなる? 変わりたくない社会が生むひずみ 例外として特権化される家族 DV相談件数と女性の自殺者数の増加 弱者化された主婦と女子高生 そしてウィズコロナの時代に 第12章 現実という名の太巻きをパクっとひと口で食べる 向田ドラマの男たち 「届かなさ」が人気の秘密 シンポシカン 盤石な地層のような現実 先端とは何か コロナ禍の家族 あとがき――忘れないために、そして未来のために 主要参考資料一覧 著者プロフィール 信田 さよ子 (ノブタ サヨコ) (著) 公認心理師・臨床心理士、原宿カウンセリングセンター顧問、公益社団法人日本公認心理師協会会長。1946年生まれ。お茶の水女子大学大学院修士課程修了。駒木野病院勤務、嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室室長を経て、1995年原宿カウンセリングセンターを設立。アルコール依存症、摂食障害、ひきこもりに悩む人やその家族、ドメスティック・バイオレンス、児童虐待、性暴力、各種ハラスメントの加害者・被害者へのカウンセリングを行ってきた。著書に、『母が重くてたまらない』『さよなら、お母さん』『家族のゆくえは金しだい』(いずれも春秋社)、『カウンセラーは何を見ているか』(医学書院)、『アダルト・チルドレン』(学芸みらい社)、『家族と国家は共謀する』(角川新書)、『タフラブ 絆を手放す生き方』(dZERO)、『共依存』(朝日文庫)などがある。 Kindle→https://amzn.to/3LnCIBM
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それは丘の上から始まった 1923年横浜の朝鮮人・中国人虐殺
¥1,980
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1923年、関東大震災直後の横浜は朝鮮人暴動などの流言が発生し、虐殺が行われた発火点だったーー。 市街のほとんどを焼失した市民は、「平楽の丘」と呼ばれる南部丘陵地へと逃れた。そこでは、震災当夜から「朝鮮人が暴動を起こしている」などといった流言が広がり、そして名も知らぬ朝鮮人や中国人を虐殺する事件の引きがねとなった。 30年以上にわたってこの史実を検証してきた著者が、150号を超える私家版「研究ノート」や数多くのフィールドワークをもとにまとめた。 デマがどうして横浜で発生したのか、なぜ虐殺を防げなかったのか、膨大な資料とともに当時を生きた人たちの顔が見える筆致で描く。100年前の虐殺事件の「なぜ?」を知るためのマスターピースとなる一冊。 目次 はじめに 第1章 横浜は「虐殺の地」だった コラム 保土ケ谷の朝鮮人労働者を守った親方たち 第2章 虐殺は「平楽の丘」から始まった コラム 横浜震災救護団の女性リーダー 第3章 大川常吉署長ーー「美談」から事実へ コラム 朝鮮人を守った親方たちのその後 第4章 横浜の中国人虐殺 コラム 戒厳軍の日誌に記された虐殺 第5章 「9月2日」を追悼する人 コラム ふたつの調査報告と「青木橋の虐殺」 著者プロフィール 後藤 周 (ゴトウ アマネ) (著) 1948年生まれ。1972年から約40年にわたって横浜市の公立中学校の教員を務め、その傍らで横浜ハギハッキョの設立から中心スタッフとして活動。退職後も横浜での朝鮮人・中国人の虐殺事件を検証。その報告書でもある「研究ノート」は150号を超える。本書は初めての著書。 加藤 直樹 (カトウ ナオキ) (編集) 1967年東京生まれ。おもな著書に『九月、東京の路上で』『TRICK 「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち』(ともにころから)、『謀叛の児』(河出書房新社)など。
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スポーツ3.0
¥2,200
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「する」「観る」「教える」をアップデート! 根性と科学の融合が新時代をひらく。 元アスリートとして、声を上げつづけてきた著者の到達点がここに。 勝利至上主義、迷走する体育・部活、コロナ下の五輪強行、暑すぎる夏、甲子園の歪さ、ハラスメント、応援の過熱、アスリート・アクティビズム、テクノロジーの浸透… それでも、もう一度全身で、スポーツを楽しみたい! そう願うすべての人へ。 「3.0」は、根性と科学の融合となる。レジリエンスとしての根性を認め、心技体の心得に再び息を吹き込まなければならない。 「スポーツ3.0」の試みが、いま求められている。 ――本文より 目次 序章 アスリートのことば――なぜ、あのとき嘘をついたのか 第一章 スポーツ3.0 第二章 東京五輪はスポーツになにをもたらしたのか 第三章 「するスポーツ」と運動 第四章 勝利至上主義への処方 第五章 応援とテクノロジー 終章 元アスリートのことば――テクノロジーとの融合を 著者プロフィール 平尾剛 (ヒラオツヨシ) (著/文) 1975年大阪府出身。神戸親和大学教育学部スポーツ教育学科教授。同志社大学、三菱自動車工業京都、神戸製鋼コベルコスティーラーズに所属し、1999年第4回ラグビーW杯日本代表に選出。2007年に現役を引退。度重なる怪我がきっかけとなって研究を始める。専門はスポーツ教育学、身体論。著書に『近くて遠いこの身体』『脱・筋トレ思考』(ミシマ社)、内田樹氏との共著に『合気道とラグビーを貫くもの――次世代の身体論』(朝日新書)、『ぼくらの身体修行論』(朝日文庫)、監修に『たのしいうんどう』(朝日新聞出版)がある。
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もうひとつの声で 心理学の理論とケアの倫理
¥3,300
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フェミニズムに画期をもたらし、〈ケアの倫理〉の原点とされる名著の増補版を完訳。女性の道徳発達を低く見積もってきた、主流派心理学の男性中心主義を剔抉、「目の前の苦しみを和らげ、誰ひとり取り残されてはならない」と命じる〈ケアの倫理〉の声を聴き取る。原題 “In a Different Voice: Psychological Theory and Women’s Development” 目次 本書を読んでくださる日本の皆さまへ 一九九三年、読者への書簡 感謝のことば 序 第一章 人間/男性のライフサイクルにおける女性の位置 第二章 関係性の複数のイメージ 第三章 自己と道徳性の概念 第四章 危機と移行 第五章 女性の権利と女性の判断 第六章 成熟の姿 文献一覧 [解題]『もうひとつの声で』を読みほぐす 訳者あとがき 調査参加者リスト 用語索引/固有名詞索引
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ジェンダー目線の広告観察
¥2,200
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コンプレックスを刺激する脱毛・美容広告、バリエーションの少ない「デキる男」像。公共空間にあふれる広告を読み解き、「らしさ」の呪縛に抵抗する。広告と経済の関係を考え、私たちのものの見方が、どれほどそれらのイメージから影響を受けているかを理解することは、消費社会の中で私たちがどのように生活しているのか振り返ることにつながるはずです。(まえがきより) 目次 1 広告観察を始める前に 2 広告観察日記 2018-2023 3 脱毛広告観察 脱毛・美容広告から読み解くジェンダー・人種・身体規範 4 「デキる男」像の呪縛を解くために 5 性感染症予防啓発は誰のため?:広報ポスターから考えるこれからの性教育 6 対談:広告だけに文化のすべてを担わせてはならない 笛美×小林美香 7 対談:広告と公共性 消費者教育のためのメディアリテラシー 尾辻かな子×小林美香 8 「写真歌謡」試論
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デオナール アジア最大最古のごみ山
¥2,860
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インドに関する本を一冊読むなら、この本を読んでほしい。――ギーター・アーナンド(ピューリッツァー賞作家)2013年夏、ムンバイでマイクロファイナンスを扱うNPOを運営する著者は、融資を求めてやってくるある人々の存在に気づく。市街地の端にあるデオナールごみ集積場でお金になるごみを集め、それを売ることでその日暮らしをするくず拾いたちだ。絶えず欲望を追いかけてモノで心を満たそうとする現代生活の産物でもあるそのごみ山は、20階建てのビルほどの高さになる。腐った食べ物、古い端切れ、割れたガラス、ねじ曲がった金属、ときには赤子の死体、花嫁の遺骸、医療廃棄物など、あらゆる夢の残骸がそこに行きつく。誰の目にも見えるところにありながら、誰の目にも見えていない広大なごみの町。著者と住民との8年以上にわたる長いつきあいが始まる。ごみ山が放つ有害な後光(自然発生する火災、都市の上空を覆う有毒ガス等)が目に見えるかたちをとり、無視できなくなるにつれて、市当局による管理の動きも露骨になっていく。その影響を受けるのは当然、そこで生きる人々だ(そもそもこの地区の起源は19世紀末、植民地時代の感染症対策にある)。これまで以上に足場が脆くなるなかで、ある四家族の生活を著者は追い続けた。とりわけ注目したのが、10代の少女ファルザーナー・アリ・シェイクだ。彼女はごみ山で生まれ、そこで愛を知り、子をもうける。悲劇的な事故にまきこまれながらも。彼女らの目を通して、最も荒涼とし腐臭に満ちた場所であっても、美や希望、愛が花開くことを私たちは知ることになる。同時に、グローバル資本主義が最も脆弱な立場にいる人々にどのような影響を与えるのかも知るだろう。〈いまや彼らは、目に見える世界に戻るために闘っていた。その姿を見せるために闘っていた。姿を見せる相手とは、すぐそばにいた彼らを避けてきた人々、くず拾いをひき殺す事故に責任を負うべき人々である〉著者は記す。この地で生まれる物語がまるで非現実的な気がしたとしても、その大半は現実である。そしてそれはごみ山で暮らす人々の物語であると同時に、どこにでもある物語なのだと。行き場のない核のごみ、不法投棄や環境汚染、連鎖する貧困、新生児遺棄、メガイベントの裏で排除されるホームレス……。日本で起きていることと、ふと重なる瞬間が訪れるはずだ。不思議な既視感を覚える、寓話的ノンフィクション。 目次 序 1 ファルザーナー 2 最初の住民 3 子どもたち 4 管理不能 5 壁 6 ギャング 7 不運 8 火災 9 裁判 10 立入禁止 11 傷 12 シャイターン 13 十八歳 14 闇ビジネス 15 理想 16 惨事 17 ナディーム 18 約束 19 カネ 20 選挙 21 オーカー判事 22 結婚 23 変化 24 延命 25 大丈夫 あとがき 謝辞 原注 Kindle→https://amzn.to/486Jzcx
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[再入荷待ち]セミコロン かくも控えめであまりにもやっかいな句読点
¥2,420
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英文法の世界でいくたびも論争を巻き起こしてきた記号「セミコロン」。 ・英文法家たちの仁義なき論争 ・セミコロンのせいで酒も飲めない? ボストン中が大騒動に。 ・終身刑か死刑か、句読点が生死を分かつ。 ・句読点の使い方を指摘され、校正者にブチ切れるマーク・トウェイン ・難解すきてまったく売れなかった『白鯨』における大量のセミコロン etc. 小さなトラブルメーカーが巻き起こす波乱万丈の文化史 ======================================== 英→日翻訳者として、日本語にセミコロンがないことを何度も呪ってきたが、この本を読むと、なくてよかったと思えてくる。そんなものがあったせいで、英語はどれだけ混乱したことか! が、その混乱をめぐる物語は無類に面白い。 柴田元幸 セミコロンひとつでお酒は売れなくなるわ、ひとは死ぬわ、さらにこんな面白い本が書けてしまうとは、どういうことだ! 鴻巣友季子 ======================================== 目次 はじめに 言葉のルールをめぐる愛憎 1章 音楽を奏でるように:セミコロンの誕生 2章 科学的規則を目指して:英文法戦争 3章 ファッションアイテムからトラブルメーカーへ 4章 ゆるい条文と自制心:句読点ひとつでボストン中が大混乱 5章 解釈に伴う偏見と慈悲 6章 ルールを岩に刻み込む 現代の試み 7章 セミコロンの達人たち 8章 切なる訴え、単なる気取り:セミコロンを使うのはひけらかし? おわりに ルール違反? 著者プロフィール セシリア・ワトソン (セシリア ワトソン) (著/文) 現在、バード大学の訪問研究員。セントジョンズ・カレッジでリベラルアーツ学士、シカゴ大学にて哲学修士、科学概念・科学史博士。以前はアメリカ人文系学会協議会(ACLS)の特別研究員としてイェール大学人文学科・哲学科に所属したほか、マックス・プランク科学史研究所の研究員や、ベルリンの芸術センター「世界文化の家」(Haus der Kulturen der Welt)で科学コンサルタントの経験もある。 萩澤 大輝 (ハギサワ ダイキ) (翻訳) 1992年生まれ。神戸市外国語大学大学院博士課程を単位取得満期退学し、現在は近畿大学経営学部特任講師。専門は認知言語学、語形成。業績に『ジーニアス英和辞典 第6版』(大修館書店)の校閲・執筆協力などがある。 倉林 秀男 (クラバヤシ ヒデオ) (翻訳) 1976年生まれ。杏林大学外国語学部教授。博士(英語学)。専門は英語学、文体論。日本文体論学会代表理事(2018 年~2020 年)、会長(2020 年~)、日本ヘミングウェイ協会運営委員。著書に『ヘミングウェイで学ぶ英文法』『ヘミングウェイで学ぶ英文法 2』『オスカー・ワイルドで学ぶ英文法』(アスク)『英文解釈のテオリア』(Z会)、『バッチリ身につく 英語の学び方』(ちくまプリマ―新書)などがある。 Kindle→https://amzn.to/485m1EN
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koro
¥2,310
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*ただいまサイン本です 眼の奥に錆びた秤が一つあり泣けばわずかに揺れる音する 『悪友』で熱烈な支持を集める著者の、無二の進化を遂げた渾身の第二歌集。 【栞文より】 「救われたくない。ゆるされたくない。そう何度も叫んでいる。(中略)できれば全て脱ぎ捨てたいのだ。そうすればふたたび穢れず生きていける」(江戸雪) 「榊原の美意識は現代短歌において実に独自性が高い。そしてその根底には、神秘への思慕がある」(黒瀬珂瀾) 「この作家の器の大きさに感嘆した。自在な言葉が相応な重さを持って宇宙の謎に拮抗している。人間が人間である悲苦から逃げることなく、現代人の知性によって真っ向から対峙している。(中略)怖るべし・怖るべし・怖るべし」(水原紫苑) 【収録歌より】 銀漢に表裏があれば手触りは違うのだろう 指輪を外す 百合のように俯き帽子脱ぐときに胸に迫りぬ破約の歴史 額縁を焼(く)べてきたかのような貌ゆっくり上げてただいまと言う ボトルシップの底に小さな海がある 語彙がないから恋になるだけ ヘアバームのくらいにおいだ泣くのなら最初の一粒から見ていたい 【栞】 江戸雪「滅びの思考」 黒瀬珂瀾「かずかぎりなきあなたとわたし」 水原紫苑「宝剣の一行」 著者プロフィール 榊原紘 (サカキバラ ヒロ) (著/文) 1992年愛知県(三河)生まれ、奈良県在住。 第2回笹井宏之賞大賞受賞、第31回歌壇賞次席。 2020年、第一歌集『悪友』刊行。 短詩集団「砕氷船」の一員。
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『ピカドン』(初版オリジナル復刻版)/『ピカドン』とその時代
¥1,980
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「原爆の的確な記録であるばかりでなく、ファンタスティクな魅力をそなえたこの小さな絵本」―大江健三郎(『ヒロシマ・ノート』エピローグより) 1950年、朝鮮戦争勃発後まもない夏、<原爆の図>制作中の丸木夫妻によって編まれた小さな絵本が、研究者の解説冊子とともに当時の姿でよみがえる。 本書は、「原爆の図」の共同制作で知られる画家の丸木位里と赤松俊子(丸木俊)が絵と文を手がけた絵本『ピカドン』(平和を守る会編、ポツダム書店刊)を、一九五〇年の発表時の状態を可能な限り再現して復刻し、あわせて別冊として研究者の解説をまとめたものである。 『ピカドン』は、連合国軍の占領下で原爆報道を禁じるプレスコード(検閲)があり、加えて六月に朝鮮戦争がはじまって反戦運動への圧力も強まるさなかに刊行された。広島に原爆が落とされた当日に各地で起きたできごとの記憶を、ペン画の明瞭な描線と簡潔な語り口によって多角的に伝えるこの絵本は、これまでにも複数の出版社から装いを変えてたびたび刊行されてきた。しかし意外なことに、一九五〇年当時のまま、掌に収まる軽やかな造本を再現する機会は、今回が初めてである。 目次 『ピカドン』絵・文 丸木位里・赤松俊子(丸木俊) カラー口絵特別付録 幻灯ピカドン/「原爆の図」展ポスター/「原爆の図」関連木版画 はじめに 岡村幸宣 『ピカドン』―たぐいまれなる物語 小沢節子 『ピカドン』と「原爆の図」全国巡回 岡村幸宣 『ピカドン』という出版物の流通と変遷について 鳥羽耕史 幻灯『ピカドン―広島原爆物語―』について 鷲谷花 『ピカドン』と大江健三郎『ヒロシマ・ノート』 高橋由貴
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在日朝鮮人作家 尹紫遠未刊行作品選集
¥2,200
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1942年、朝鮮人初の短歌集を刊行した人物でありながら、その存在は今ではほとんど忘れ去られている朝鮮人作家、尹紫遠(ユンジャウォン、1911-1964)。 1946年夏に発生した南朝鮮でのコレラの流行により強化された連合軍と日本による朝鮮人管理・海洋警備を背景に、玄海灘を命懸けで渡る人々を描いた長編「密航者の群」に加え、米占領下の東京であまれた詩、「解放」後の釜山で引きあげ家族が直面する厳しい現実を描いた「嵐」、1949年東京で「パンパン」に中古ストッキングを売る夫と生活のため売血する妻を描いた自伝的要素の強い「人工栄養」など、未刊行の重要作品5つをあつめた作品選集を刊行。 目次 一.「焼跡」(一九四六年/一九四七年) 二.「大同江(その一)」(一九四七年) 三.「嵐」(一九四七年) 四.「人工栄養」(一九五九年) 五.「密航者の群」(一九六〇-一九六一年) 解説 狂濤の時代に二つの国境をこえて 宋恵媛 未収録の作品 尹紫遠作品一覧 著者プロフィール 尹紫遠 (ユンジャウォン) (著/文) 尹紫遠(本名:尹徳祚:ゆんとくちょ) 1911年、朝鮮半島蔚山に生まれる。幼い時に朝鮮総督府の土地調査事業により一家は土地を失う。書堂(漢文を中心とした私塾)と植民地下の初等教育を受ける。13歳の時、長兄を頼り単身横浜へ。1942年の時に自伝的短歌集『月陰山』を刊行。徴用を逃れるため1944年に朝鮮半島北部へ(現在の北朝鮮、松林市)。日本軍の武装解除のため米ソ軍の分割占領ラインとして引かれた38度線をこえ、南朝鮮へ移動。「解放」後の混乱する南朝鮮を目の当たりにし、同時代の多くの朝鮮人がそうしたように日本への再渡航を決意。1946年に蔚山から日本へ「密航」。山口県にたどり着く。戦後日本で小説家を志す。1947年5月、金達寿、 金元基、李殷直らとともに在日本朝鮮文学者会を結成し短期間であるが責任者を務める。東京にて朝鮮国際タイムス社勤務、行商などを経て、クリーニング店を妻と経営。戦後の著書に『38度線』(早川書房、1950年)がある。日韓国交樹立の前年、戦後は一度も故郷の土を踏むことなく、1964年に死去。 宋恵媛 (ソンヘウォン) (解説) 博士(学術)。著書に『「在日朝鮮人文学史」のために──声なき声のポリフォニー』(岩波書店、2014年/ ソミョン出版[韓国]、2019年)、編著に『在日朝鮮女性作品集』(緑蔭書房、2014 年)、『在日朝鮮人文学資料集』(緑蔭書房、2016年)等、訳書にキースプラット著『朝鮮文化史──歴史の幕開けから現代まで』(人文書院、2018年)がある。 宋恵媛 (ソンヘウォン) (解説) 博士(学術)。著書に『「在日朝鮮人文学史」のために──声なき声のポリフォニー』(岩波書店、2014年/ ソミョン出版[韓国]、2019年)、編著に『在日朝鮮女性作品集』(緑蔭書房、2014 年)、『在日朝鮮人文学資料集』(緑蔭書房、2016年)等、訳書にキースプラット著『朝鮮文化史──歴史の幕開けから現代まで』(人文書院、2018年)がある。
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越境の在日朝鮮人作家 尹紫遠の日記が伝えること
¥3,850
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金素雲訳編『朝鮮詩集』(岩波文庫)の解説者として世に知られる、朝鮮人作家、尹紫遠(ユンジャウォン、1911-1964)。1942年、朝鮮人初の短歌集を刊行した人物でありながら、戦後の歩みはこれまで注目されたこともなく、その存在は今ではほとんど忘れ去られている。 日本出身の妻と暮らした尹紫遠の戦後の日記には、「密航」・親族離散・朝鮮人差別・生活苦・文化交流、そして戦後日本で在日朝鮮人が「書く」営みの困難さを伝える断片的記述に満ちていた。様々な在日朝鮮の人たちの声を拾ってきた研究者の解読とともに、日記は豊かに「在日」の経験を現代に語りだす。 目次 世紀をこえるグローバル移動の物語 西川祐子 在日朝鮮人文学史の〝失われた環〟 平田由美 体験と虚構の中に探る戦後史の共有の(不)可能性 日比嘉高 日記がつむぎだす「もう一つの戦後史」 板垣竜太 尹紫遠日記を読む 解説 宋恵媛 序. 宛先不明の手紙 一.在日朝鮮人と日記 二.一九四六年、戦後作家の誕生 三.蔚山での幼年時代、東京での孤独な青春 四.桃の花、あいりすの花―内なる朝鮮を詠む 五.東京はけふ雨が降ってゐる―戦後日本で朝鮮人が書くということ 六.文学者たちとの交流録 七.在日朝鮮人文学史の一隅で 八.謎解き 九.とし子 父と母の思い出 尹泰玄 尹紫遠日記(1946.9-1964.8) 尹紫遠 『月陰山』巻末記 尹徳祚 あとがき 尹紫遠作品一覧 尹紫遠が鑑賞した映画一覧 人名索引 著者プロフィール 尹紫遠 (ユンジャウォン) (著/文) 尹紫遠(本名:尹徳祚:ゆんとくちょ) 1911年、朝鮮半島蔚山に生まれる。幼い時に朝鮮総督府の土地調査事業により一家は土地を失う。書堂(漢文を中心とした私塾)と植民地下の初等教育を受ける。13歳の時、長兄を頼り単身横浜へ。1942年の時に自伝的短歌集『月陰山』を刊行。徴用を逃れるため1944年に朝鮮半島北部へ(現在の北朝鮮、松林市)。日本軍の武装解除のため米ソ軍の分割占領ラインとして引かれた38度線をこえ南朝鮮へ移動。「解放」後の混乱する南朝鮮を目の当たりにし、同時代の多くの朝鮮人がそうしたように日本への再渡航を決意。1946年に蔚山から日本へ「密航」。山口県にたどり着く。戦後日本で小説家を志す。1947年5月、金達寿、 金元基、李殷直らとともに在日本朝鮮文学者会を結成し短期間であるが責任者を務める。東京にて朝鮮国際タイムス社勤務、行商などを経て、クリーニング店を妻と経営。戦後の著書に『38度線』(早川書房、1950年)がある。日韓国交樹立の前年、戦後は一度も故郷の土を踏むことなく、1964年に死去。 宋恵媛 (ソンヘウォン) (著/文 | 編集 | 解説) 博士(学術)。著書に『「在日朝鮮人文学史」のために──声なき声のポリフォニー』(岩波書店、2014年/ソミョン出版[韓国]、2019年)、編著に『在日朝鮮女性作品集』(緑蔭書房、2014年)、『在日朝鮮人文学資料集』(緑蔭書房、2016年)等、訳書にキースプラット著『朝鮮文化史──歴史の幕開けから現代まで』(人文書院、2018年)がある。 宋恵媛 (ソンヘウォン) (著/文 | 編集 | 解説) 博士(学術)。著書に『「在日朝鮮人文学史」のために──声なき声のポリフォニー』(岩波書店、2014年/ソミョン出版[韓国]、2019年)、編著に『在日朝鮮女性作品集』(緑蔭書房、2014年)、『在日朝鮮人文学資料集』(緑蔭書房、2016年)等、訳書にキースプラット著『朝鮮文化史──歴史の幕開けから現代まで』(人文書院、2018年)がある。